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デファクトレビュー (2018.01.14)
Defacto Review (2018.01.14)
31 min
1. 鉱業・重工業省の内紛
2. 銀行の資産評価
3. 第5熱電供給プラントプロジェクトを停止
鉱業・重工業省の内紛
鉱業・重工業省のD.ザグドジャブ副大臣が「オユ・トルゴイ社は、営業を停止するべきである」と発言したことに対し、D.ソムヤバザル鉱業・重工業大臣はそれを否定し、鉱業・重工業省の見解ではないと表明した。その上で、D. ザグドジャブ氏が再度同じ発言をした場合、辞任させる事になると言及した。また、ソムヤバザル鉱業・重工業大臣は、オユ・トルゴイ社の取締役会は運営の仕方が悪い事と、オユ・トルゴイに天下りした元鉱業・重工業省の職員が多いこと、その結果情報が漏洩しているとも述べた。
今回、モンゴル政府の副大臣というポストとオユ・トルゴイという二つの問題が生じている。最初の問題は、一時的とは言え副大臣のポストが必要ではないと見られていた事。事務次官は政治的ポジションではなく、大臣が交代しても省の業務を遂行できる役職だ。しかし政権が代わる度に事務次官と副大臣が交代する。しかし、同じ政党で政権が代わる場合、交代されない場合もある。副大臣というポストは政権与党に大きな寄付をした人で、知識と技能は閣僚に達する程ではなく経験不足な人々がなる。ある意味、寄付をしたお礼とみられている。先週、ソムヤバザル鉱業・重工業大臣をインタビューした時、彼は「省の見解は大臣が表すべきであり、副大臣は副大臣という与えられた職務を全うする。でなければ責任を負わせる」と発言した。同インタビューやその他の多くの出来事から見ると副大臣というポストは政党の資金調達と関連するポジションである事が分かる。政党がモンゴルの政治的ポストを商品として扱っていることを強調しておきたい。
オユ・トルゴイ鉱山はモンゴルの戦略的鉱山であるため、政府は株式の34%を保有している。政府は34%を保有する他に監督し、モンゴルに利益をもたらすように働きかける義務がある。しかし、利益どころか負債をもたらしている。オユ・トルゴイ鉱山に関してソムヤバザル鉱業・重工業大臣は「リオ・ティント社が海外から3〜4%の利息で調達した借入をモンゴル政府が保有する株34%を計算する時に3%上乗せして利息を算定している。このことをモンゴル政府は認めない。また、オユ・トルゴイのモンゴル側の取締役員は非常に消極的で何もしていない。そのため、大統領はオユ・トルゴイの取締役員を変える意向を表明した」と話した。取締役会長の任命に当たり、分野に詳しい、知識も実力もある人物を任命する必要がある。そもそも、オユ・トルゴイの取締役員を任命する際、基準を定めなかったので彼らに責任を追及できない。
オユ・トルゴイに関して出てくる次の問題はドバイ契約書である。オユ・トルゴイ鉱床の鉱山採掘計画書に署名し契約を結んだことで止まっていたオユ・トルゴイプロジェクトが一歩前進した。しかし、株主が承認していないのに鉱山採掘の基本的な投資規定を承認したことに批判が集中している。モンゴル政府、オユ・トルゴイの間にあった主な問題の一つは47億ドルの採掘費用についてである。オユ・トルゴイ鉱山の埋蔵量の70%が地下1㎞以下の深部にあり、30%が地表にある。今採掘されているのは地表の30%。地下深部にある鉱物を採掘するには膨大な資金が必要である。その採掘に必要な資金は47億ドル。そのうちの10億ドルについてモンゴル政府は認めていなかった。これを前首相サイハンビレグの内閣が認め、ドバイ契約書に署名した。一方ではオユ・トルゴイについて政治家それぞれが様々な見解を持って目立とうとしている。ドバイ契約書に署名したことで、オユ・トルゴイプロジェクトが動き始めたことを特筆すべきである。しかしながら契約規定を見直し、変更する必要がある。
銀行の資産評価
2016年の国際通貨基金(IMF)の拡大信用供与措置の条件として出された銀行の資産評価を行った。モンゴル銀行バヤルトサイハン総裁の報告によると、銀行の資産評価を行い、銀行に何らのリスクは発見されなかったとのこと。またこの資産評価を精査していると述べた。これに対して、3つの結論を出そう。
モンゴル銀行総裁は2016年の資産評価を2017年の決算と比較し、外部に監査させると述べた。格付け評価が3Aの国際機関がモンゴルの全商業銀行に資産評価を行い、これが大規模な監査となった。現在、結果は非公開のままだ。結果に関する報告をモンゴル銀行総裁は説明をしたが、それは不十分だった。リスクがないというなら評価結果を公開すべきだ。精査とは2016年度の資産評価結果を2017年度の決算書と比較し、リスクの有無を調べていると考えられる。モンゴル銀行も2017年の資産評価をこの方法で行うと明らかにしていた。
また、商業銀行が資本金を増資する計画書を提出させるという。そして、商業銀行の自己資本比率を増やすのに六ヶ月間の猶予を与えるが、この期間に間に合わなかったら再度増資問題が持ち上がるだろうと述べた。増資は外資か自社か関係なく、自己資本比率を増やすべき状況を生み、商業銀行の再増資の必要性があると考えられる。
モンゴル銀行は上記の計画後、銀行のストレステストをすると述べた。ストレステストとは、金融機関は恐慌が発生した場合、どう乗り越えられるかを査定するリスク管理手法だ。例えば、国内総生産の下落、モンゴル通貨トゥグルグ相場の下落、失業率の急拡大など、マクロ経済における恐慌時においては商業銀行の貸出が悪化する傾向にあり、どの程度まで銀行が耐えられるかを査定する。恐慌の恐れがない時、銀行はそれに備えて準備が出来ているかを査定する新しい方法を取り入れているとみられる。
最近、中央銀行に関する法律が成立した。以前は、中央銀行総裁は独自で決断をし、金融政策委員会はアドバイスする立場だったが、これからは両者が共同で決断を出す事になると言われている。また、以前のモンゴル銀行はインフレ率に焦点を当てていたが、これからは貿易と金融比率を注視していくと言う。このような中央銀行は世界中にあり、例えばインド中央銀行もしかり。しかし、インド中央銀行は外国からの融資を中央銀行に預金するという規定があるが、実際にはそうならないと期待している。また、新しい法律に「銀行の安定基金設立」が書かれている。これは、商業銀行の預金額の1.3%を中央銀行に合法的に集中させ、銀行制度の安定化を図ると言われているが、実際には効果が不明確である。明確な事は、商業銀行のコストが増加するという事だ。銀行預金の1.3%が無くなれば、貸出金利が増加するリスクがある。また、預金保険制度法が成立し、「預金保険コーポレーション」が設立された。2000万トグルグまでの個人の預金を銀行が倒産しも補償する制度で、これに対して銀行は預金の0.125%を四半期毎に支払っている。これらの基金が合わせて銀行のコスト増加につながっている。モンゴル銀行のバヤルトサイハン総裁は就任直後に資本準備金が無いと述べ、政治家たちから批判されていた。そして今度は銀行の資産評価でリスクが無いと述べている。実際にリスクが無いのであれば、何故これらの金融改革を行い、法律を強化しているのか。もちろんリスクがあるからだ。
第5熱電供給プラントプロジェクトを停止
2011年にスタートした第5熱電供給プラントのプロジェクトを停止した事をエネルギー省が報告した。450メガワットの暖房熱を供給するプラントの建設予定だった。同プロジェクトを停止させ、現在稼働中の火力発電所の効率を上げ、整備をする事となった。
第5熱電供給プラントについて20年間協議し、10回も起工式をしたプロジェクトだ。第5熱電供給プラント建設の受注業者の中にフランスのエンジーという世界第2位の電気ガス事業者があった。また、日本の専門商社第三位と言われている双日、韓国のポスコ・エナジー、モンゴルのニューコムの長年の活動を台無しにした出来事となった。もし、政府がプロジェクトを開始した時に建設を始めていたら資金調達も出来ていた。上記の企業も資金調達がすでに出来ていた。しかし、これからはいくら願っても、泣いても、熱電供給プラントを建設するための資金調達は出来ない。
このプロジェクトだけではなく、サインシャンド地域に建設予定の産業パークプロジェクトも停止した。モンゴル政府がこのように無責任だと、外国の投資家はモンゴルの民間企業を信用できなくなる。モンゴル政府の信頼が薄れるにつれて、民間企業がいくら頑張っても外国の投資家は無視する様になる。世界にパリ条約と持続可能な開発プログラムなど、二酸化炭素の制限に関する数々の条約が成立され、格付け評価が3Aの銀行は30年から40年の長期間プロジェクトに融資するが、これからはモンゴルに融資する事はないだろう。
日本語版制作:Mongol Izumi Garden LLC http//translate.mig.asia
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