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デファクトレビュー (2018.03.18)
DEFACTO REVIEW (2018.03.18)
31 min
トランプと金正恩の会談
モンゴルは、アメリカと北朝鮮の両国と良好な関係を持つ数少ない国の一つである。アメリカと北朝鮮の首脳会談をモンゴルで開催する用意があるとZ.エンフボルド大統領府長官がマヌエル・ミカラー駐モンゴル米大使と接見して伝えた。このモンゴルの提案に対してアメリカ側は感謝の意を表し、同提案を至急ホワイトハウスへ報告すると返答した。またこの席で、Z.エンフボルド大統領府長官が、モンゴルは北東アジアの平和と安定に貢献してきたと話した。モンゴルは「北東アジアの安全保障に関するウランバートル対話※」を主催してきた。またモンゴルは欧州安全保障協力機構の会議を2015年に主催、第11回アジア欧州会合(ASEM)を2016年に開催した実績がある。
この提案をTs.エルベグドルジ前大統領がアメリカのトランプ大統領に対してツイッターで提案し、その後大統領府が米朝首脳会談に関する下準備を始めた。Kh.バトトルガ大統領がトランプ大統領に宛てて書いた書簡にもこの提案が記されていた。
モンゴルは社会主義時代に北朝鮮と友好関係を築いていた。朝鮮戦争時、アメリカ軍による首都平壌の空爆でも最後まで残っていた駐在大使はモンゴル大使だった。北朝鮮の革命家:金日成氏はモンゴルに二度訪問した。モンゴルが民主主義に移行してからも人民共和国である北朝鮮やキューバ、ベトナム、ラオスなどの国々と友好関係を維持できているので、モンゴルの政治家は誇りをもってモンゴルはどの国とも敵対関係ではないと言う。
「第三の隣国」政策は、中国・ロシアという隣国以外に民主主義で市場経済のある国々と友好関係を維持することが目的である。モンゴルの国家安全保障書には、モンゴルの経済連携の三分の一はロシア、三分の一は中国であり、第三隣国も三分の一とすると記載されている。アメリカと北朝鮮の両国に同時に友好関係を維持できている数少ない国の一つはモンゴルだ。
米朝首脳会談はモンゴルで開催されるかどうか分からないが、国際報道機関は会談場所の候補リストにモンゴルを入れている。アメリカ合衆国大統領はモンゴルを訪問した過去がある。米朝両国の首脳会談をモンゴルで開催する際、安全保障に対して注目するべきである。国際的で大規模な会議の開催経験があるモンゴルは、アメリカや中国の支援で安全保障問題を解決できると思う。米朝首脳会談の開催候補地に南北朝鮮の非武装地帯(DMZ)、スカンジナビア諸国のスウェーデン、フィンランドなどが上げられている。アメリカと北朝鮮と韓国の非公開会談がフィンランドで行われる事になっている。
賄賂対策庁の要求
モンゴル賄賂対策庁からターコイズ・ヒル・リソーシズ社に対し、オユトルゴイ鉱山プロジェクトの決算報告書を提出するよう要求がきたと同社が発表した。要求した目的として「2009年のオユトルゴイの投資契約締結協議で政府高官が権力を濫用したかを調査する活動範囲」と明確にしている。ターコイズ・ヒル・リソーシズ社の発表によると、賄賂対策庁の要求内容にオユトルゴイ鉱山プロジェクト自体を調査するものはなかったとのこと。
この件について海外の報道機関は「リオ・ティント社とモンゴルの苦痛の続き」というタイトルで報道しているそうだ。理由は国税庁から追徴課税勧告を受け、2013年度から2015年度までの間、オユトルゴイ社は納税を全うしていないと報道された。賄賂対策庁の調査ターゲットはオユトルゴイ社ではなく、政府高官による汚職に関することだとターコイズ・ヒル・リソーシズ社が発表した。2009年度の投資契約締結協議を当時首相だったS.バヤル氏、元鉱業電力大臣D.ゾリグト氏、元財務大臣S.バヤル氏、元自然環境大臣L.ガンスフ氏が行った。当時の投資契約書に上記のうち三名の大臣の署名があるので、調査する為に要求してきたとターコイズ・ヒル・リソーシズ社は伝えた。もちろん、権力を濫用した人物に対して影響を与えた民間企業の人間がいるのは当然だ。今後調査が進み、オユトルゴイ社さらに親会社であるリオ・ティント社まで調査が拡大する可能性がある。
また一方、賄賂対策庁は政府から独立したかというとそうでもない。以前は大統領の提案で賄賂対策庁の長官を選んでいたが、現在は国会が任命している。政府や政治家の影響から賄賂対策庁を誰が守っているのかは不明だ。
税法の審議
これまではどんな法案もこのように広範囲で審議したことはなかった。連日専門機関を招集し、税法について討議し、民間の代表も討議に参加していた。財務省はその宣伝活動を上手に実施している。
対象 | 日付 | 参加機関 | 実施機関 | 場所 | |
1 | 税務庁の職員代表 | 3月6日 | 国家予算歳入観察庁、都市・区の税務局代表 | 国税庁、国家予算歳入観察庁、ウランバートル市税務局 | 税務庁8階会議室 |
2 | 高額納税者の代表 | 3月9日 | 国家予算歳入観察庁の対象となる納税者 | 国税庁、国家予算歳入監察庁 | 税務庁8階会議室 |
3 | 区の納税者の代表 | 3月12日 | チンゲルティ区、ソンギノハイルハン区の税務課の対象となる納税者、大規模な市場・ショッピングセンター、企業の利益を保護するNGO、組合代表 | 国税庁、ウランバートル市税務局 | 税務庁8階会議室 |
4 | 区の納税者の代表 | 3月13日 | バヤンゴル区、ハン・オール区の税務課の対象となる納税者、大規模な市場・ショッピングセンター、企業の利益を保護するNGO、組合代表 | 国税庁、ウランバートル市税務局 | 税務庁8階会議室 |
5 | 市・区の納税者代表 | 3月15日 | ウランバートル市税務局、バヤンズレフ区、スフバートル区の税務課の対象となる納税者、大規模な市場・ショッピングセンター、企業の利益を保護するNGO、組合代表 | 国税庁、ウランバートル市税務局 | 税務庁8階会議室 |
6 | 県・区の納税者代表 | 3月5日~20日 間 | バガノール、バガハンガイ、ナライハ区及び県の税務課の対象となる納税者、大規模な市場・ショッピングセンター、企業の利益を保護するNGO、組合代表 | 当該地域の税務課 | 税務課会議室 |
改正税法案の内容は非常に良いものとなっている。前は四半期ごとに税務申告書の提出を義務付けられ、付加価値税を支払っている場合は税務申告書の提出を毎月要求されていた。提出期間が過ぎた場合は違反法にて罰金が科され、これが小さい企業にとって大きな障害であった。改正税法案では、小さい企業は税務申告書を年に2回提出することになっている。また、年間利益が5000万トゥグルグまでの企業の利益の90%を還付するなどの規定を入れたことが良かった。
税源の増加、企業や個人が誠実に納税できるようになるためには、税務調査官、国税庁の姿勢が変わらなければならない。「政府があるから税がある。税があるから政府がある」という言葉の順番を変えなければならない。つまり「納税者がいるから政府がある。政府があるから税がある」という様に変えると哲学的に大きな違いが出てくる。納税者を尊重し、彼らのために取り組むところは政府であると言えば、より誠実な対応ができるようになるだろう。
遊牧民、商売人、芸術家、スポーツ選手は税金を払うようにならなければならない。遊牧民、商売人は私たちと同じく収入を得ているので納税すべきだと思う。彼らは何らかの企業などに所属していないから個人で収入を申告し税金を払わなければならないが、実際には申告せず税金を払っていない。
70万頭の家畜が大雪で凍死
国家統計局の発表によると、この冬70万頭以上の家畜が凍死し、これは2011年以来の多さである。今年最初の2ヵ月間に70万9000頭の家畜が死亡し、これは去年の同じ時期に比べ5倍以上だそうだ。モンゴル全土の大半が吹雪に見舞われ、12県で大きな災害を受けたと先週、非常事態庁から発表があった。モンゴル赤十字によれば、数千世帯が冬季の避難訓練を実施する機会が無かったそうだ。赤十字は4500世帯に総額12億トゥグルグの支援金を決めた。モンゴルでは約229,000世帯が畜産業に従事している。2017年12月現在、全国の家畜総数は6,620万頭に達している。
家畜数が減少すると食肉の値段が上昇する。食肉価格は主要商品にあたるのでインフレに影響を及ぼし、物価が上昇するとみられる。6600万頭以上の家畜のうち70万頭の損失を割合で見ると大きくはないが、いくつかの県に集中しているようで、一部の遊牧民は全ての家畜を失っている可能性がある。その意味では、財産を失った遊牧民による都市への流入増加もあり得るだろう。
デファクトレビューの一部を省略しました。
日本語版制作:Mongol Izumi Garden LLC http//translate.mig.asia
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