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デファクトレビュー (2018.03.25)

DEFACTO REVIEW (2018.03.25)


March 25th, 2018


Д.Жаргалсайхан
@jargaldefacto


2594   0


32 min


貸出の機会は増えるか?

モンゴル銀行の金融政策決定会合が3月23日に開かれ、政策金利を1%引き下げ10%とし、銀行のトゥグルグ建て準備高を10.5%、外貨準備高を12%にする決定を出した。この決定は銀行の短期資金調達の金利を下げ、貸出金利の低下による事業活動の支援に繋がることが期待される。政策金利とは、商業銀行が中央銀行に資金を預け入れた際の年間の利子である。言い換えれば、商業銀行が自分たちの余剰金或いは貸出に回さなかった資金を中央銀行に預けて得る利子だ。モンゴルの商業銀行の貸出金利は20%、預金金利は15%である。モンゴルのように預金金利が15%の国ではこのような金融政策の影響は小さい。他国では預金金利は2〜3%と低く、0.5〜1%の金利の影響は大きい。しかしながら中央銀行の金利が1%引き下げられるので貸出が増加するだろう。方針としては正しい。

モンゴル銀行設置のワーキングチームが作成した「貸出金利を引き下げる国家戦略」には、貸出金利を引き下げる際にマクロ経済の環境整備、政策の成果向上、銀行のリスク管理能力、その利益及び仕組みを高めることによって貸出金利の引き下げが可能になると書かれている。そしてこの反面、預金金利も引き下げられるという問題が発生する。そういった場合、取引市場があれば、そこに資金を投資することによって預金金利が下がる。社会においてお金が余っている部分ではこのような投資機会が増えるほど、商業銀行の貸出金利の引き下げが可能になって来る。通貨供給量が少ないほど預金金利の競争が増してしまう。従って銀行の貸出金利を引き下げるためには、経済が健全で競争力があり、マクロ経済において価格規制をせず、国営企業の事業活動が透明でなければならない。基本的には国営企業を民営化して株式上場することで証券取引市場自体を発展させ、政府の経済活動への参入を少なくし、民間部門における競争を増やすことができる。

モンゴル銀行は質のある政策機関ではあるが、目標達成に至らなかった場合の責任を明確にする仕組みが整っていない。もし、本当に誤った決定や政策を出したことが判明した場合の措置は、役職(ポジション)を変えるに過ぎないものである。 

二人の財務大臣の事件

オユトルゴイ鉱山の契約に関するロイター通信の記事には特定の人名や機関名は出てこなかった。つまり元財務大臣S.バヤルツォグト氏、リオ・ティント社の名前はなかった。この事件は現在捜査中であり、現時点では明確になったものはない。モンゴル賄賂対策庁はスイスの連邦検察庁と協力して捜査していると公表した。S.バヤルツォグト氏本人がビジネスを始めるためにモンゴル人実業家から多額の融資を受けたと話していた。また先日Ch.フレルバートル財務大臣が賄賂対策庁から取り調べを受けていると報道された。この2つの事件は、政治家や公職に就く者が個人のビジネスを行う場合、公私混同がないように区別する仕組みを作る必要があることを我々に見せている。また、モンゴルの政府機関の能力が低いということを現している。その理由は透明性がないことにある。

前内閣官房長官J.ムンフバト氏は、Ch.フレルバートル財務大臣が職権を使いホトゴル・シャナガという石炭鉱山の株式を韓国人に売却したと言っている。J.ムンフバト氏は財務大臣と同じ党に所属する国会議員だ。Ch.フレルバートル財務大臣は、この件に関して捜査を受け、結果待ちだと言っている。つまりこの2人のどちらかが嘘ついているということである。誰が嘘をついているのか、その真相を裁判所が早く突き止めなければ、捜査中という名の下で真相が消えてしまう。モンゴルにはそんなケースが多い。こういった背景から正義を下す政府機関へ対する国民の信頼が落ちてきている。法を司り、守るべきこの機関に対する信頼が落ちると、社会の間で不公平感が深刻化する。

S.バヤルツォグト氏に関しては、二国の法律機関が捜査して明らかにしてくれると思う。S.バヤルツォグト氏がオユトルゴイの契約書に関わっていたなら話は別だ。しかし、現職のCh.フレルバートル財務大臣に関しては、J.ムンフバト氏が言ったことが本当なのか、また誰が嘘をついているかを突き止め、責任を追及するべきである。要するにJ.ムンフバト氏が嘘ついていた場合は、それに見合う責任を負わせる。Ch.フレルバートル財務大臣が職務上の権限を私用目的に利用した場合は、それに見合う責任を負わせるということである。

民主党はS.バヤルツォグト氏を除名処分にした。しかしこれは彼らの党内の問題だ。実際、S.バヤルツォグト氏が民主党に所属しているかどうかは私たちにとってあまり興味の対象ではない。個人でビジネスをしていたかどうか、それは個人の問題である。だが個人のビジネスを政府の高い地位にある者がやっていて、それを申告していなかったのなら責任を負うべきだ。一部の人が疑っているように、彼はオユトルゴイ契約書締結の際に外国企業側から大金をもらって、その契約書が外国企業側に有利になるようにしたことが捜査で判明すれば、オユトルゴイ契約書は変更するべきである。

しかし、そうはならないと思う。仮にS.バヤルツォグト氏は当時大金をもらったならば一人ではないはずだからだ。当時の政権にいた人たちも関与していただろう。 

モンゴルの法律は誰のためか?

政府と非政府組織は完全に分離されるべきだ。政府高官が非政府組織のトップの地位に就いていることは珍しくない。モンゴル競馬調教師協会の会長がM.エンフボルド国会大会議議長でなければならないのか。モンゴル相撲協会の会長が国会議員のB.バトエルデネ氏でなければならないのか。彼らの個人的な利益と公の政策をどのように区別できるのか。特に非政府組織の活動が、政府高官の資金で行われている場合は透明性が求められる。

この問題は国有財産、私有財産、公共財産からみて利害関係が発生するという問題がある。競馬や相撲は大きなビジネスであり、公共の利益と個人の利益が明確に分けられるルールが無い限り、これは社会にとって有害である。また非政府組織の財産は私有財産ではないということを私たちは理解する必要がある。 

ロシアの選挙:異なる見解

ロシア連邦中央選挙管理委員会からの依頼を受け、3月18日に行われた大統領選挙に国際選挙監視員として参加してきた。サンクトペテルブルク市中心とその近郊に設けられた8つの投票所を訪れた。投票所に行き登録を受け、選挙団長に会い、写真撮影を行い、監視員席から投票の様子を見守った。モンゴルの選挙と同じように、投票所は学校の校舎に設置され、有権者は投票用紙に記入し、投票箱に入れていた。各投票所では約2000人が投票する。一部の投票所では投票用紙を数える機械がなかった。機械がないところでは封印された透明な投票箱が置かれていた。投票用紙を数える作業は全て監視カメラの下で行われた。プーチン氏の圧勝についてロシア国内の報道機関は「ロシアは団結している。ロシア国民はプーチン氏を最も支持している」と報道していたが、欧米の報道機関の見解は異なっていた。「雇用主が労働者に対し投票を指示したのでプーチン氏の得票率が高くなったとロイター通信がテレビで報道した。プーチン氏には有力なライバルが2人いた。その一人が殺害されたボリス・ネムツォフ氏、もう一人が立候補を無効とされたアレクセイ・ナワリヌイ氏だった」とBBCが伝えた。

今月に入ってからデ・ジュリ、つまり政治的、経済的に特別なことが多かった。隣国であるロシアと中国は指導者を選び、その任期を20年にする法律が成立した。西には約30年間一人で政権を握ってきた国がある。モンゴルと隣接する国が政治を一人で支配している。しかし言い換えれば政策が安定しているということである。それに比べてモンゴル政府の平均寿命は2年となっている。今後もこの寿命は変わらないだろう。モンゴルの新世代は政府の寿命が無理でも、せめて政策の安定性を求めている。

モンゴルの貴重なものは個人の自由、人権を尊重する民主主義である。これを私たちが守り、発展させる他に道はない。大国の政治を評価する必要はなく、自分たちがやるべきことをやるしかない。大国とある程度の距離を保ちながら平等に接し、彼らとの同盟などに加わらないこと。スイスは800年間このように独立を維持し、今では世界で最も裕福な国の一つとなっている。ある滑稽な話がある:それは「世界で最も独立した国はどこか?」それはモンゴル。「どうして?」なぜなら、どの国もモンゴルに依存していないから。情けない話だが、我々はこの原則を守らなければならなくなった。

デファクトレビューの一部を省略しました。

日本語版制作:Mongol Izumi Garden LLC http//translate.mig.asia


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