JDF
INFORMING. INSPIRING. EMPOWERING.
JDF

Social

デファクトレビュー (2018.03.04)

DEFACTO REVIEW (2018.03.04)


March 4th, 2018


Д.Жаргалсайхан
@jargaldefacto


2361   0


31 min


1. パリ協定  

2. エルデネス・タバントルゴイ社の株式  

3. ウランバートル市に原炭を入れない

パリ協定  

パリ協定で世界のほとんどの国々は気候変動に影響を及ぼしている温室効果ガスの排出削減に取り組む公約を発表した。公約が果たされなければペナルティが発生するわけではない。また各国の気候変動対策への貢献率を明確にした。この範囲でモンゴル国もパリ協定に加盟した事である程度の公約をした。その公約の中で電力消費について2030年までに再生可能エネルギーによる発電比率を30%にすると記載されている。現在は8%だ。この公約はある程度果たされるのではないかと判断している。理由は、現状の比率は8%だが二年後には20%に達すると見込まれている。現在、数少ない再生可能エネルギーを使用した発電所が稼働中だ。それにサルヒト風力発電所とダルハン市の太陽光発電所、ツォグトツェツィー郡のツェツィ-風力発電所、サインシャンド市の風力発電所などの建設が決定している。建設工事が始まり、稼働するであろう発電所が2020年までに20%に達する可能性がある。しかしこれは単なる公約である事は前述のとおりだ。各国が公約を実現させるとは限らない。なぜなら経済や人口の安定化に気候変動が大きく影響を及ぼしているからだ。

幾つかの国では温暖化による海面の上昇が深刻な問題となっている。例えば、バングラデシュの沿岸部やインド洋にあるモルディブ共和国などがある。特にモルディブ共和国は10年後には海に沈む恐れがある。気候変動対策は必須で、単なる公約と考えず目標達成の為に各国の努力が必要不可欠だ。地球温暖化による年間平均気温上昇率が高い国の一つはモンゴルだ。温暖化に伴い砂漠化も進行している。気候変動の影響が大きいのでモンゴルも国家安全の見地から気候変動対策に貢献すべきである。もちろん、モンゴルだけが公約を果たしたからといって砂漠化や地球温暖化が止まるわけではない。世界の国々と協力して公約を実現させれば気候変動を止める事が出来る。

現在、風力と太陽光による発電コストは下がってきている。中国は再生可能エネルギーへの投資額が最も高い国となっている。投資が増加すればコストが減少する。今は石炭より高コストだが、コストが下がるのを待つ必要はない。モンゴル市場は小規模なので幾つかの再生可能エネルギーを使用した発電所を建設すれば公約実現はより簡単になる。中国や他国の公約実現には大規模な投資が必要となる。モンゴルは発電量が少なくて済むし、国際機関の借款で再生可能エネルギーを使用した発電所を建設している。サルヒト風力発電所、ツェツィ-風力発電所、サインシャンド市の風力発電所などは低金利の借款で建設されているので、公約を実現すればそれが他国にとって良い事例になるだろう。

モンゴルには石炭が豊富にある。タバントルゴイ火力発電所が稼働しない理由は、パリ協定と関連して国際投資機関が火力発電所への投資を停止または削減すると決定したので、投資問題が解決できなかった。国際投資機関にとっては火力発電所というのが投資を躊躇する原因となっている。しかし、私たちは石炭火力発電所を建設しなければならない。再生可能エネルギーだけで電力需要を賄えないからだ。鉱山開発、オユトルゴイに関する問題はこの二週間取り上げられている。オユトルゴイは稼働して数年で国内から電力を購入する、あるいは発電する必要があるのでこれを再生可能エネルギーだけでは補うことはできない。だから火力発電所を建設してはいけないという事は無い。火力発電所を建設すると共に再生可能エネルギーに力を入れる必要がある。

アメリカ政府はパリ協定からの離脱を宣言したが、数多くの州知事は自己の範囲でパリ協定の公約を実現すると表明した。さらに、アメリカの大手企業は気候変動対策に参加し、投資すると発表した。アメリカは合衆国なので全州を代表する決定が出来ない。各州にはそれぞれ政策がある。例えば、カリフォルニア州はアメリカ5位の大規模な経済圏を持っている。カリフォルニア州は再生可能エネルギーやグリーン経済に数多くの取り組みをしている。その結果も出てきているので、合衆国大統領の離脱宣言により温室効果ガスが増加するということはない。モンゴルと国境を並べる中国とロシアもまたパリ協定に加盟している。中国では北京と上海の大気汚染が深刻なので、国家安全レベルの大気汚染対策として原炭消費削減、低品質な炭鉱閉鎖などの政策を実行している。その結果コークスの価格が上昇している。中国はパリ協定の公約に一番投資していて、自国の経済をグリーン経済と緑化開発に向けている。ロシアも同じくパリ協定に加盟している為、アメリカより協定を重視している。

エルデネス・タバントルゴイ社の株式  

エルデネス・タバントルゴイ社は1072株※の株主を登録し始めた。これは笑ってしまう決定である。なぜならば、国民一人ひとりに1072株を交付する際に登録すれば済んだことを、今になってしようとしているのを第三者の立場から見れば滑稽だ。今まで株主登録をしなかった理由は、国民が正式な株主になると会社の意思決定に影響を及ぼすからである。エルデネス・タバントルゴイ社は設立当初、数ヵ所から借入を受け、そのお金を人間開発基金に充てて国民に交付した。エルデネス・タバントルゴイが全ての負債を背負っている。このように数年間やってきた末にようやく石炭価格が上昇してきて負債の返還を始めている。同社のD.アルオンボルド社長は「中国のチャルコ社(中国アルミニウム)からの負債を返済した。また開発銀行からの負債2億ドルのうち1億5000万ドルを返済した。後は5000万ドルの借金が残っているのみ」と公表した。借金の返済ができて、ようやく株主の登録を始めているようだ。そして3月末に株主総会を開くと言っている。ここで心配していることが1つある。それは支給する株式を国民に金銭及び奨学金などの形で交付したり、金銭で買い取ったりした。しかし現在でもモンゴル最大規模を誇るエルデネス・タバントルゴイ石炭鉱山の株式の20%を200万人が保有している。この200万人の代表が同社の株主総会に参加できるかどうか。200万人が一同に参加する株主総会は不可能である。そのような事例は世界にない。そのため、200万人の株主の利益を守るためには、独立した取締役員をエルデネス・タバントルゴイ社の取締役会に任命できるかということが焦点だ。もしできれば、何らかの決定において株主の利益を反映させるような人物が求められる。

※2012年に政府が国民一人あたり1072株を支給した。

ウランバートル市に原炭を入れない 

2019年にウランバートル市への原炭の搬入を禁止する決定がなされた。実際にこの決定が施行されるかどうかが心配である。決定自体は勇気ある正しいものだと思う。私たちは練炭を製造する数社にチンギス債券による資金を提供した。しかし、工場が稼働している会社は一つもない。これらの工場が再稼働するためにこの1年間でしなければならないことが数多く浮上してきている。人口の60%はゲル地区に暮らしている。みんな原炭を使用している。そういう意味では1年以内に大量の練炭が必要となる可能性がある。ゲル地区の各世帯に無煙ストーブを配布したと言っているが、実際に何%がそのストーブを使用しているかは不明である。練炭は原炭に比べ価格的には高いが、熱量が良い。そのため、同じ熱量なら原炭1㎏を購入するより、より高効率な練炭を購入することになる。その為には政府から企業に補助金を出す他はない。財政が黒字になればこのような措置に予算を使うべきだと思う。重要なことは練炭製造工場を再稼働させ、対象世帯の幅を広げること。問題に取り掛かる前に禁止をかけ、次に解決に取り掛かる方が良いようだ。過去10年間、問題解決のために取り掛かった後に禁止をかけることが解決に至らなかったということを私たちは嫌というほど見てきた。

日本語版制作:Mongol Izumi Garden LLC http//translate.mig.asia



Like the article?

Comments (0)


Upvote
0 people (0%)

Түдгэлзсэн
0 people (0%)

Дэмжээгүй
0 people (0%)

Related articles