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デファクトレビュー (2018.04.01)

DEFACTO REVIEW (2018.04.01)


April 1st, 2018


Д.Жаргалсайхан
@jargaldefacto


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32 min


3本柱の開発政策は実施されるのか?

モンゴルの経済フォーラムの当初の目的は、重要な問題について調査し、民間企業、政府、市民で協議することだった。一昨年まで継続して開催されていた同フォーラムは昨年休止したが、今年は開催された。以前のフォーラムではどの様な問題を協議し、解決したかについて報告書が作成されなかった事に注目する。結果報告がないから協議した問題とその解決に関して関連性、継続性、質がない。問題点を協議するだけの繰り返しになる事は目に見えている。フォーラム自体が内容ではなく、形式だけが盛大になっている事を批判されてきた。今年のフォーラムでは下記の3本柱の開発政策が紹介された。

  • 多柱経済開発
  • 正義を守り、責任のある安定したガバナンス
  • 人間を中心とした社会政策

これらを見ると経済、政府、社会の3つの改革について協議したと思われる。しかし、これらは名前を変えているだけで以前からずっと話されてきたことである。3本柱政策を持続的に実施するに当たって私たちが直面している課題は、政策の実現方法を明確にしていないことだ。どのように実現するかを明確にするためには、これまでどうして実現できなかったかについて省みて検討しなければならない。これについて調査、評価が不十分である。

また、改革をどの政策から始めるのか具体的に示してほしい。モンゴルで未だに実行されていないことはガバナンスの改革。まずは政府、次に経済、最後に社会の改革という順で実施されるべきだ。正義を守り、責任のある安定したガバナンスとは、言い換えれば法令の遵守、つまり法の支配である。法の支配とは国は法律のみに支配されることであり、個人や国王、ある特定の権力者が支配することではないということだ。私たちはそのような社会を求めて選んだ。

今まで多柱経済政策をなぜ実施できなかったか、その原因を究明せず決定した政策が実行されないまま20年がたった。「どうやって」という実施方法に関して国営企業と民間企業のどちらが実行すべきか。もし、国営企業が実行する場合、国有企業と同様に不透明であるのか、国有という名がついていても実際は政党の所有物なのかという事を明確にし、決断すべきだ。

人間を中心とした社会政策は、教育の需要と供給の差が低い時に安定する。これに関連して問題が一つある。それは市内の住宅用地の問題である。建設会社が土地の所有者から用地を買い上げた代価を建てたマンションの1戸をあてるだけでなく、住宅建設によって得られた利益の一部を所有者に支払うシステムを作れば、住宅化が早く進むと思う。

私は経済フォーラムで民営化と改革についての討論の司会を務めた。3年前に火力発電所の30%を民営化すると国会で決議した。しかしこの間、担当する大臣が火力発電所を視察し、関連する規則などが最終化していないことを理由に民営化を先延ばしにしてきた。モンゴル政府が出しているいかなる決定も調査に基づいていないこと、何の調査もしていないと大臣が平気で言うことから、政府の無責任さが見て取れる。一方、民営化することに対して監視問題を重視した協議が行われている。国営企業全体の運営活動は黒字だったと言っている。だが実際は20社が赤字だった。ミアットモンゴル航空とウランバート鉄道公社などを民営化する話しがあるが、進展がなく話題なっただけだ。株式会社モンゴル郵便の34%を民営化してから黒字に転換し、株式公開価格の180トゥグルグが現在600トゥグルグまで上昇している。民営化とは、全てのステークホルダーの監視を置くということである。沢山の人が株式を保有し、監視するように改組することが私たちの目的である。監視がないから政府に忍び込んだ政党という名をもつ人たちが、好き勝手にしていることを指摘しなければならない。

国有財産政策調整庁のTs.ニャムオソル長官は「国有企業126社を売却すれば賄賂が無くなる」と言う。実際には国有企業は97社ある。これらの企業の年間利益は8千6百億トゥグルグだった。国有企業すべてが赤字だったというのは誤解である。モンゴルが今まで民営化してきた案件は1900に上る。

国有企業の赤字の理由は、政党の名をもった人たちが国営企業の取締役会や管理職になり高給を得ているが、取締役として企業に何の価値ももたらしていないからだ。

取締役に求められる知識や能力、政府管理職の職務規程はどうあるべきか、条件は何かについて協議した。大手国営企業を内閣官房が担当し、自分たちの意に沿う人間を取締役会に入れている。国営の中小企業を国有財産政策調整庁や各大臣が担当してきた事実がある。

フォーラムでモンゴル大統領は公務員削減について述べた。その意図は政府管理職を減らすということだろう。公務員の80%を医者と教員が占めている。この80%の削減と増加は難しい。政府行政機関で働く公務員は10%を占めている。大統領が言った公務員削減はこの10%に向けたものだと思う。大統領は、価値を生んでいる民間企業で働く人は20万人いる。これと同じ数の公務員がいることは不適切だと言っていた。 

学歴を持った失業者たち

トレーディング・エコノミクスが出した2018年の第1四半期のデータによれば、モンゴルの失業率は7.3%とアジアで首位になっている。1990〜2017年の間の平均失業率は6.75%。2016年の第1四半期の失業率は11.6%と過去最高だった。2007年の第4四半期の失業率は2.8%と最も低く、失業率は下がっていた。新興国では主に教育水準が低い学歴を持たない層が失業者であることが多い。だがモンゴルの場合は学歴をもっている人たちが失業者である傾向が見られる。 

4.3失業者、教育水準、性別

教育水準
合計         性別
     男性        女性
学歴がない
小学校
中学校
高校
技術・専門
特別専門中級
学士
修士・博士
合計
4,364    3,467        897
2,666    1,889        777
9,145    6,357        2,788
21,537   11,397       10,140
45,448   34,576       10,872
7,009    2,598        4,411
40,317   15,891       24,426
1,288    1,027        261
131,774   77,202       54,572

高等教育機関は質の低い教育を提供している。その理由は大学生になれば学費を払う。学生の中には自分の将来に明確な信念をもっている人もいれば、将来を考えない者もいる。とにかく卒業証明書だけを取得しようと考える学生が多くなっている。目的は特定分野の専門家になることより卒業証明書を取得することにある。一方、大学の教育の質と得られる能力は労働市場のニーズに応えていない。2017年の国家統計局の調査によれば、全国に96の大学がある。

組織形態
2017
全大学数
96
国立
18
私立
75
モンゴル国内にある外国の学校
3

現実の生活ニーズに応じた製品を生産しない様に、今の学生は企業のニーズに応えるレベルにはない。また、民間企業の高学歴をもった人の採用数も減少している。民間企業の事業拡大はなく、競争力は低下している。モンゴルでは税率が高いままだ。100万トゥグルグの給料を払うために110万トゥグルグの人件費が必要になる。そのうちの40万トゥグルグを税として国に払っている。モンゴルの民間分門における人材採用は簡単なものではない。税法には税金を徴収すると定められているが、徴収された税金が何に使われるかについて定められていない。会社の収益から税金を徴収するとある。Ch.フレルバートル財務大臣に聞いたところ、実際に私たちは収益から徴収していると言っていた。先進国では収益には課税せず、利益に課税する。新規事業を起こそうとしても税金を徴収される。事業拡大しようとすると低金利の融資はなく、24%の高利子融資しかない。高利子融資を受けた企業はどうやって返済を続けるか?犯罪性のある事業のみが返済できると言っても過言ではない。このような圧力があるからモンゴルの民間セクターは発展しない。発展しないから雇用率が低下している。

3本柱政策の範囲で実施されている投資を通して、2020年までに新たに26万3000人の雇用が可能になるとある。ほとんどの雇用は農牧分野で作られる。しかし、このような雇用が直ぐに実現するとは思えない。この雇用予測数が公表され、その業務内容を具体的に示されるといいだろう。

裁判官の給与引き上げで正義が行われたのか?

裁判官の給与は他の政府管理職よりも高く300~500万トゥグルグである。その理由として1つは裁判官の市民としての権限を制限してしまうからだ。裁判官は給与の他に所得を得てはいけない。教員、医者、警察官は給料だけではなく、個人で店を開いたり、市場で商売をしたり、副業で所得を得る権利がある。裁判官にはそれら全てが禁止されている。2つは、裁判官は経済的に独立していなければならない。しかし、裁判官の2017年度の所得申告によれば、モンゴル国最高裁判所のCh.ホスバヤル判事の所得は2億4840万トゥグルグで最も高かった。所得が最も低かったのは司法評議会事務局長T.メンドサイハン氏で3060万トゥグルグだった。

人はそれぞれ所有するものがあり、資産を持ち裕福に暮らすことは決して悪いことではない。市場経済では人は働けば働くほどお金を得る権利がある。しかし、特に公務員は所得をどこから得たかを説明しなければならない。自分が得た所得を具体的に説明できなければ、行くべきところに行くしかない。これこそ民主主義の貴重な本質である。説明できなければ裁判官としての資格を剥奪するなど、常識として最低限の懲罰を下すべきだ。説明できないということは何か問題があるということ。司法評議会の下に倫理委員会と専門委員会がある。倫理委員会は苦情があった時に審査する。裁判官の所得申告に関して国民から倫理委員会に苦情が出ているから、倫理委員会は調査して市民に説明するべきだ。或いはNGOに依頼して、何の事件の判決後に誰がどのように所得を得ているかを調査してもらって公表する必要がある。このようにしなければ、不公平感が社会に広がり、市民の政府への信頼は失われる。司法評議会とは司法制度の機能を監視する最高機関である。司法評議会の会長や会員を大統領が任命するようになった。大統領による司法制度を監視するシステムになっている。Ts.ニャムドルジ法務大臣がこのシステムを監視し、変えると公約していたが、今は何をしているかは不明だ。

デファクトレビューの一部を省略しました。

日本語版制作:Mongol Izumi Garden LLC http//translate.mig.asia


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